ストレスと腰痛

一昨日いらした40歳代の男性。主訴は一年ほど前から続く腰痛。

 

お話を伺うと、症状がストレスから来ているのではと強く疑っているとのこと。 その理由として、症状が出始めた一年ほど前から、自分としてはあまり好きではないプロジェクトに加わった。症状が出るのは決まって通勤の電車の中、それも会社が近づくにつれて増強される、とのこと。

 

西洋医学的には整形外科的疾患として扱われることの多い腰痛ですが、ストレスが原因で発症することがあるのでしょうか(心療内科はあっても心療整形外科とかって聞かないですもんね)?
 
私は個人的にはあると考えています。
 
ぎっくり腰などは朝方顔を洗おうと屈んで…ってパターンが多いですが、お話を伺うと前の晩寝る直前に考え事をしていたり、お休みの日の朝は起こらなかったり、という方が結構います。
 
 
で、私もこの方と同じ意見でしたし、(この方の奥さまがそういうことに詳しいようで)この方にとって特に目新しい情報、役に立つ情報もないかもなぁと思いつつも、小っちゃいホワイトボードを使って術前の説明をすると

 

「…自分なりに色々経験したことからそうやと思ってたんですけれど、こうやって図で説明してもらえると、すごい整理できました。」

「あ、そう言ってもらえるとうれしいです。…で、何か(症状の)原因になるようなことって、心当たりあります?」

「はい、あります…(あることから)逃げまくってますわ(笑)」
 
この方と私が思っている通り(心因性)に、この症状が出来上がっているとしたら、施術は結果(身体症状)を変えるかもしれないが、それはあくまで対症療法になるかもしれない旨を了承していただいた上で施させていただきました。
 
施術後、症状は10→1?(痛みが感じられない)くらいに変化したのを確認して、今日やったことの説明などをはじめたのですが、数分後、また痛み(3,4くらい)が出てきました。

 

通常こういった場合、患者さんの反応としてはご自分の身体か私を責めることが多いと思いますが、この方は違いました。

 

「(目をキラキラさせて)…カラダって不思議ですね~!!」

 

ある意味ご自身の仮説通りになったことがうれしかったのかと思いますが、痛みが再発してこんなリアクションを取られた方は初めてでした。

 

(この方の場合、私が指摘するまでもなく症状の因果関係を把握されていることもあり、特にカウンセリングの必要性も感じませんでしたので、様子を見て痛みが増強するか、もしくはご自身での取り組みが煮詰まったり、定期健診で要注意の項目もあったので時々腰も含めたケアに来ていただく、ということで終了しました)

 

心理的要因によって身体症状が現れるのはきわめて正常だということを周知徹底させなくてはならない。その理由は明らかだ。日常生活にストレスや緊張を感じない者はいない。まじめで善良でありたいと思えば、なおさらだ。

「ごく普通の」人々が常にストレスにさらされ、無意識下に絶え間なく怒りや憤怒を発生させている。~

 ジョン・E・サーノ著 長谷川淳史監訳 浅田仁子訳 春秋社刊より