マッサージ依存症

先日交野市近郊に住む方が、当院のHPをご覧になり来院されました。
作った本人が言うのもなんですが、あの「絵心のない素人が気合だけで作ったHP(!?)」のどこを見て、電車に乗ってまで来る気になったのか、参考までに聞いてみました。

すると、
「肩こりとかって、あんまりグイグイやったらダメなんですってね。
私、知らんとグイグイやる所に行ってまして、確かにやってもらってる時は気持ちいいんですけど、家帰ったら戻ってるんです。
でも何回か通ったら良くなると思って、先週は毎日通ったんですけど…。
何かおかしいと思い始めた頃に、お宅のHPを見せていただいたんです。」
とのことでした。

肩こりの時、肩を強く揉んではいけないのでしょうか?

 

「 …筋疲労に対して,力まかせに揉んだり,叩いたり,マッサージしたりすることは,筋肉の発達したプロスポーツ選手は別としても,筋力の乏しい人には百害あって一理ない。むしろ運動で痛んだ筋線維をさらに損傷し,微小出血や浮腫,腫脹といった急性傷害をきたすだけである。患者は,揉まれた後はすっとして楽になった気がするが,当然の結果として翌日にはさらに痛みが増大し,マッサージ依存症という医原病的状態に陥ることも多い。」


標準整形外科学  第8版』医学書院 より抜粋

 

つまり、筋肉に強い刺激を加えるということは、筋線維を破壊することで、当然破壊された組織では修復しようと炎症反応が起こります。
で、問題はその時の「すっとして楽になった気」です。ついその「すっとして楽になった気」は「=症状の改善」と考えがちですが、実はその真逆なんです。

例えば身体に良くないとわかっていて、自己責任において、おいしいものを飲み食いする事(私はあります)はその人の自由だと思いますが、多くの方が筋肉への直接的な強いアプローチが、炎症を引き起しているという事を知らないのではないでしょうか?

私はこの世界に入るまで知らずに受けていました。

我々徒手療法家の責任(医原病的状態)は多分にあると思います。
ただ、パンチの効いた揉み押しを求めるニーズも間違いなく存在します(一瞬でも痛みから解放されたい気持ちも理解できます)。


このブログを通じて一人でも多くの方が徒手療法の世界に興味を持ってくれたら、そう思います、…が、どんな療法であろうと受けられる際には必ず自己責任を伴う、ということは忘れないで下さいね。

(当院だって例外ではありません。自省の念をこめて)