危機管理

松下電工製のマッサージいすで発煙、発火事故が起きたそうです。
幸いけが人などはいなかったようですが、事故に遭われた方はきっと驚かれたでしょうね。

その製品名が「リアルプロ」だけに、この機に乗じて商売敵(!?)の揚げ足を取るのかというと、そうではありません。

当院では物理療法は行っていませんが、危機管理という面では他人事ではないのです。


「私、薬が嫌いなんです」という患者さんが時々いらっしゃいます。
恐らくその方の中では、

   薬=身体に良くない=NG、
   徒手療法=自然治癒力を引き出す=安全=OK

という図式があり、だから徒手療法を評価しています、という意味合いも含んでいて、我々にとっては大変ありがたい患者さんだとも思うのですが、

私は100%安全な治療法など存在しないと思っています。

薬であろうと徒手であろうと、どんな療法であろうと(アロマ,音楽等も)、人の身体をある状態からある状態へ変える、つまり身体の中で何らかの生化学的、電気的、構造的変化が起こる事を期待して行うわけですから、大なり小なりリスクは生じ、それに伴って危機管理も必要になります。それが表向き、どんなに当たりの柔らかい名前(癒し,ソフト~など)が付いていたとしても。

最終的に携わる人間の意識の問題だと思います。
飲酒運転と同じで「オレ(この療法)に限って…」が一番危ないと思います。

スタントマンの友人曰く、

「落っこち(=高い所から飛び降りるスタント)とか、見てる人に“よう恐くないなぁ”って言われんねんけど、そんなもん恐いに決まってるやろ(笑)!
恐いから仕事できんねん。恐なかったらただの趣味や。
恐怖心を使って冷静に自分や周りの人間の安全性を計算した上で、最高のパフォーマンスを魅せるのがホンマのプロや」

…ええこと言います(感心)。




「その行為の結果がどう出るか,よかれあしかれ,そのところがはっきりと見きわめられるようになるまでは,そなたは石ころひとつ,砂粒ひとつ変えてはならん。

宇宙には均衡,つまり,つりあいというものがあってな,ものの姿を変えたり,何かを呼び出したりといった魔法使いのしわざは,その宇宙の均衡を揺るがすことにもなるんじゃ。

~わしらはまず何事もよく知らねばならん。

~あかりをともすことは,闇を生みだすことにもなるんでな。」


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