空の巣症候群

みなさん、ケーキは食べましたか(笑)?


昨日の施術の合い間のことです。次の方の準備ができたので待合室に呼びに行くと、互いに面識のない患者さん同士(30歳代男性と60歳代女性)がお話をしています。


私の耳に飛び込んできたのは…



男性「…ここ(当院)は自分でどう(症状に)対処していったらいいのか、教えてくれるところです。」


どういう話の流れでそういう話になったのかはわかりませんが、はじめて来られた女性の不安を色々解消していただいていたようです。


○○さん、私の代わりに丁寧にお答えいただき、そして当院をそういう風に受け止めていただいていることに、正直、感動しました。ありがとうございました。


 


話は変わりますが、これも昨日来ていただいた他の60歳代の女性、主訴は右足のだるさと頭痛、ここ四日ほどはお家でじっとされていたということなのですが…。


色々お話を聞いていて、心因的な要素も含まれているように感じられました。最近、お子さんが結婚されたというのです。


この時期に一時的に陥る抑うつ状態を「空の巣症候群」などと言いますが、いわゆる良妻賢母タイプがなりやすいとされ、それが身体症状として現れることも多く、この方に限らず、実際体調不良を訴えて整体院に来院されるケースも多いです。


 


子育てという20年越し、30年越しの大仕事。


ご本人はすっかり忘れてらっしゃいますが、その間には何度となく、「この子が大きくなるまで、独立するまで…」とご自身を奮い立たせ、ご自身に言い聞かせて数々の難事を、自分のことは後回しにしてでも乗り切って来られたかと思います。


もし心が身体を動かしているのだとすれば、心の中(潜在意識)では、かつてご自身によって潜在意識に書き込まれた(言い聞かせた)プログラムにひたすら忠実に、「こどもの独立まで!」という期限付きで身体を動かす指令が数十年にもわたり出され続け、そして実際にお子さんが独立すると、やはりそのプログラムに忠実にピタッと指令が出されなくなり、心身の不調和をまねきます。



「どうしたんやろ、わたし?」


ご本人はそんな自分に言い聞かせたことなどすっかり忘れた頃に症状が出てきますが、それは古くなったプログラム(生きがい)を、書き換える時期を知らせてくれているのかもしれません。


 


この時期、女性の場合更年期と重なることも相まって、大きく体調を崩される方もいらっしゃいますが、心身両面へのサポートは必須かと思います。


「こどもの親としての私」というアイデンティティーを失うことで、人によっては一時的に不安定な状態に陥るこの時期ですが、それはあくまでその先の人生への移行期であって、決して人生のレギュラーを外されたのではなく、その先の人生を自由に選択できるFA権を取得した状態、色んな旅行のパンフレットを取り寄せた状態、そのくらいに感じていただければ、少し気が楽になるかと思います(繰り返しますが、真面目な良妻賢母タイプが陥りやすいです)。


 


この方には、そういった可能性をも含めて受け容れていただけたようでしたが、お帰りの際、入り口で靴を履かれている手をふと止めて、



「(!)…先生、…楽になってますわ~(笑)」


あら、早くもプログラム(生きがい)の書き換えが始まったのでしょうか(笑)。


(気づいて受け容れるだけでも、結構落ち着くもんです)