その男…、スタントマン。

大阪の某有名テーマパーク(諸々の事情で言っちゃいけないそうです)のアトラクションで活躍するあるスタントマンの方に、時々ケアの為に来ていただいています。

この方がすごいんです。
会うたびに勇気をもらっているような気がします。

もちろんそのパフォーマンスもすごいんですが、大げさなことを言えば「人間の可能性」を感じさせてくれるんです。


この方は幼い頃に腎臓の病気を患い、そのために身体が弱く、義務教育の小中学校の体育の授業は“オール見学”、だったというのです。

スタントマンという現在の仕事からも信じがたいのですが、実際ゴールドジムのロゴの入ったタンクトップから出ている丸太のような腕を見ていますと、余計「ウソやろ!?」と思ってしまいます。

身体にコンプレックスを抱いていたからこそ、究極の肉体労働を選択したのでしょうか?
(耳の不自由なベートーベンにとっての音楽のように)

こんな話をしていただきました。


その方が中学2年生の時、いつも一緒に体育の授業を見学していた、やはり病気がちだった友達が、突然病のために亡くなられます。
そしてそれからの一週間というもの、この方はショックで一言も言葉が出なくなったそうです。

「…次は、オレや。」

自らの死線を見つめる中学生。


この方は泣き言を言わない、言い訳をしない、自分に厳しい方ですが、それでいて周りの人間に対してはマネの出来ないような気遣いをされます。

以前から人間的に“大きい人やなぁ”と思っていましたが、そんな修羅場をかいくぐっているからなんでしょうね。

会うたびに、自分の中でくすぶっている事がちっぽけな事に思え、大抵の事はやれそうな、そんな気がしてきます。


施術としては、パフォーマンス、トレーニングに支障をきたしている部位、筋骨格系のケアは当然ですが、高いパフォーマンスを発揮してもらうためには、いいトレーニングを続けてもらうことも目標の一つとなります。

そのいいトレーニングを続けてもらう為には、心肺系のみならず、Ca代謝に関与する腎臓や、筋肉の材料になるタンパク質の合成・分解にも関与する肝臓など(これらは東洋医学的にも関連付けられています)、こういった内臓へのアプローチも必須になると、個人的には考えて行っています。


十年以上前、体育の授業を見学せざるを得なかった中学生が、現在は何千人もの観客の前で大暴れしているかと思うと、…何だかワクワクしてきます!