まだ見ぬクライアント

先日、ある方から“美容師免許に無事一発合格しました!”という嬉しいメールが届きました。試験前には、練習すればするほど、ロットを巻けば巻くほどうまく巻けなくなるという悪循環に陥っていたようですが、そんなプレッシャーも何とか乗り越えられたようです。本当におめでとうございます。


 


かと思えば、先日来院されたある方からは、“来夏、司法書士試験に挑戦することにした!”、という報告を頂きました。現在ストレスから休職中の方ですが、先のことを考えられる心の余裕が出来てよかったとも思いましたが、将来就くであろう司法書士という仕事について情報収集するうちに、なぜか最近勉強に集中できなくなってきたとのこと。


正直、司法書士の試験がどれだけ難しいのか、そもそも司法書士がどんな仕事なのかすら私には分かりませんが、とりあえず何が不安要素になっているのか一緒に探してみることにしました。


 


スケジュールとしては来年7月の試験のあと、10月に合否の発表があるのですが、ちょっとイメージを膨らませてもらいました。そのとき“あなたはどうなってたらいいですか?”“その知らせを聞いた周りの人の反応は?”“あなたは何をしていますか?”…からはじめて5年後…10年後…。


すると、合格発表のあとのことが今ひとつピンと来ないようなので(当然ですが)、私が考えられるパターンを三つ挙げて、それぞれでご自身が働いてる様子をイメージしてもらいました。



A.どこかの司法書士事務所に勤める


B.独立して自分の看板を掲げる


C.どこかの事務所に勤め、経験を積んだ後に独立する(A.→B.)


A.のどこかの事務所に勤めているイメージは簡単に出てきましたが、ご自身が独立しているイメージは少し出てきにくいようです。それでもB.パターンのイメージで時を先に進めてみると、「○○司法書士事務所」の看板のかかった住居兼店舗の一階の扉から、ご自分のお子さんが出入りしているイメージが出てきました。


そこまできた時、私が小っちゃなホワイトボードに描いた住居兼店舗(らしきもの!?)を図示し…



「じゃあ、この扉からお子さんが“ただいま~”って帰ってきたりするんですね?」


と尋ねると、“はっ!”と何かに気付かれたようでした。



「…いえ違うんです!! 本当は一人でもいいんです!


…誰か借金で困っている人を助けられたら…それで死なずに済む人がいるんなら…」


 


私はもちろん、ご本人も“どえらいところに行き着いた!”みたいな顔をされていました。一応私も冷静を装い「…じゃあ勤めるか独立するかはあんまり関係ないみたいですね」みたいな事を言って言葉を継ぎましたが、本当は内心、この方の深いところから出た言葉に感動していました。


若い方ですが、これまで色々修羅場をくぐられているだけに、ご本人も気付かないうちにそんな動機が芽生えてたんでしょうね。ご本人によると情報を集めるうちに、“だんだん欲が出てきた”とのことで、もちろんそれ自体は決して悪いことではないんでしょうが、“将来は独立して成功する”という外から入ってきた成功イメージと、元々ご自身の深いところにある動機との間で折り合いがつかなかったのかもしれません。


でもよくよく考えると、つい数ヶ月前にこの方にはじめてお会いしたときには、不定愁訴いっぱい、「自分OK,他者NG」の周囲への不満いっぱい…という状態だったのですが(○○さん、ゴメンネ)。辛かったでしょうが、よっぽどしっかり自分を見つめなおされたんでしょうね。まだまだ道半ばですが、そんな努力があったからこそ、今の境地に立たれたんだとも思います。


 


ちなみに、この方は将来自分の前に現れるであろうクライアントのイメージが大分出来ているようでしたが、私が出た整体学校の校長先生は、学校内でノホホンと過ごす学生にこんな声掛けをしてモチベートしてました。



「田中、お前の未来の患者さん(クライアント)はすぐそこの道を歩いとるぞ!」


「えっ、どこどこ?」


「アホッ!!」


…(笑)。でも当時、将来自分の前に立つであろうクライアントをイメージすると、結構シャッキリできたのを覚えています。


(…ところで司法書士って何をする人なんでしょうか(^_^;)?)