十牛図

前回のブログで電話機が故障したと報告しましたが、あれは私の早とちりで、実際は屋外の電話線が傷んでいたことが判明しました。NTTに屋外の電話線を交換してもらい一件落着となりましたが、ある方からは「…なおりました?」というメールまでいただきました。報告が遅くなりましたが、ちゃんと電話を受けられるようになりました。ありがとうございました。

 

ストレスに由来する身体症状を心身症といいますが、全員にとはいいませんが、そういった症状を訴えられる多くの方に、「十牛図」というものをご覧になるようおすすめしています。

 

十牛図」は、禅の修業のプロセスや人生の諸段階を十枚の絵で象徴的に表現したものですが、おすすめしている理由としては、諸々のストレス症状が前面に出ている渦中にいると、不安感に呑まれてしまうこともあってなかなかご自身を客観視できなくなるんですね。

 

そういった方に
「あなたの中で大暴れしているのは、あなただけに降って湧いた災いではなく、昔からある普遍的なテーマなんですよ…」
 
「今もちゃんとプロセスの一つにいて、ずっとこの“牛さん”に引き摺りたおされている状態が続くのではなく、この先の展開もあるんですよ…」

 

といったことを感じていただきたいからです。

 

どうしても渦中にいるときというのは近視眼的になりがちですが、こういったズームバックした状態からご自身を見られると、かなり精神的に落ち着けるようなんです。

 

ついでにご自身の中で大暴れしている“牛さん”を、「やっつける」もしくは「回避する」という手段以外にも、「握手する」「統合する」…という方法もあるんじゃないですか、という提案も含まれているのですが(もちろんそうなると、手間ひまと勇気が必要です)。

 

 
先日いらした20歳代の女性。ストレスから仕事を辞められて現在求職中ですが、前回一回目のセッションが終わってから、お家で「十牛図」や「インナーチャイルド」などの情報をインターネットを使って知的に吸収し(1.尋牛、2.見跡!?)、意を決してご自身の心の中と向き合われたそうです(3.見牛、4.得牛!?)。

 

で、やがてその甲斐あって、その方のイメージの中に登場したのは牛さんではなく…

 

「…バイオハザードに出てきそうな、ボロボロのクタクタの女の人でした(笑)。

でもよく見ると…何かすごい…本当に申し訳ない気持ちになりました」

 

とのことです。

 

 
で、それでこの方の症状(吐き気・不安感等々)が劇的に改善されたわけではありません。

 

来院の際に利用された電車の中でも相変わらず吐き気に襲われましたし(といっても10→5,6くらい)、ただいつもと違ったのは、「…ま、いっか」と、余裕を感じられるようになったそうです。

 

見ている世界が、キラキラしたパラダイスに変わるわけでもなく、昨日までと何ら変わらない景色なのですが、深い深いところにあるプレートが変化したのでしょうか、「何かが違う」とのこと。

 

 
で、面白いのが、目に見える変化というのもちゃんとありまして、それは…その“バイオハザード”と出会った直後に、なぜか同居されているご家族の方が会社で昇給されたそうです(!)。

 

そうそうあることではないらしく、求職中のこの方にとっても、それは大きな安心感を得ることでもあったと。

 

…うまいことできてます(感心)。

 

 
(私が十牛図をはじめて見たとき、“これを考えた人は天才やなぁ!”と感動したものですが(笑)、いろんなサイトでいろんな解釈がなされているようです。もし興味のある方いらっしゃるようでしたら、是非「十牛図」で検索してみてください)