ストレス→身体症状 その2

 

で、症状に心因的な要素が強く感じられる場合、整体師として私が何ができるかですが、基本的に原因(心)と結果(身体)、両方に働きかけます。カウンセリングと整体です。

 

ただ、多くの軽い症状の場合、心因的な要素と症状の間にご本人の中で因果関係が結びつき、合点がいくと特にカウンセリングの必要もなく通常一、ニ回の施術で終了します。

 

症状がきつかったり、何年も続いているようなものだと、カウンセリングやご自身の心に目を向ける、といった取り組みがどうしても必要になってきます。
 
 
心身症の場合、それは徒手療法の限界というよりも、薬だろうが外科的手術だろうが同じで、それらは結果(症状)をいじることで結果(症状)を変えようという目論見ですから、その症状を生じさせた原因(心)の方は手付かずになってしまう訳です。

 

例えば症状を目前に迫った戦闘機だとすると、それを徒手療法などで一時的にうまく追い払えたとしても、その戦闘機が飛び立ってきた滑走路(空母)であったり、燃料貯蔵タンクといった原因(みなもと)の方はそのまま残っているわけですから、また攻撃を受ける(症状再発の)可能性はとても高くなります。

 

その滑走路(みなもと)にアプローチしようと思うと、カウンセリングと何よりもご本人の努力がが必要になるのです。

 

 
そうは言っても、私の小さい頃のことを思うと十分理解できるのですが、特に年配の方の場合、昔の精神病院のイメージなどもあって、“自分の心に何らかの原因がある”というのは、とても恥ずべきことでもあるようで、私がその可能性を切り出すと即座に否定される方も多いです。

 

私の切り出し方もまずいのでしょうが、誰しもが大なり小なりストレスの影響下に生活しているわけで、特に酒やギャンブル、薬物、その他中毒と名の付く不健康な対処法に逃げない、まじめな方ほど身体症状として現れやすいものです。

 

それらは、決して恥ずべきものだとは思いません。
 
心身症(精神身体症状)は仮病でも思い込みでもなく、現実の症状である。

 

ごく普通の人に発症し、西洋社会に蔓延している症状である。

 

心はなぜ腰痛を選ぶのか―サーノ博士の心身症治療プログラム 』 

ジョン・E・サーノ著 長谷川淳史監訳 浅田仁子訳 春秋社刊より